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先発と救援の違い

一般的に、優れた投手は、まず先発投手としての起用が検討されます。先発でよく投げることができる選手なら無条件先発投手として使う方が寄与度が高くなります。救援投手は多くのイニングを投げることができないので、どんなにうまく投げ寄与度に限界があります。特にWAR(代替選手比勝利への寄与度)は、そのような点が顕著になります。

ところが、体力が落ちて多くのイニングを投げにくかったり、球種が多様していないし、救援投手としてより適していると判断した場合救援投手として起用されます。だからといってすべての先発投手は、すべての救援投手より優位であることはありません。先発ローテーションに挙げられるの選手が救援投手としてはそれほど強力ではないない場合もあります。先発投手は打者と何度も相手必要があるため、様々な球種を備えたのが有利で救援投手は球種が少なくとも球威が強力な方がいいです。それでも平均的に先発投手が救援​​投手より優れたことは間違いありません。

NPBから2014〜2019年の6年間先発投手と救援投手の成績はどのような違いがあったのか説明します。

 

2014〜2019年の先発投手と救援投手の平均失点(RA9)

タイプ 2014 2015 2016 2017 2018 2019 Total
先発投手 4.27 3.88 4.12 4.13 4.41 4.47 4.21
救援投手 3.90 3.62 3.86 3.83 4.23 4.00 3.91
違い 0.37 0.26 0.26 0.30 0.18 0.48 0.30

 

年度によって多少の差はあるが約RA9(平均失点)0.30点ほどの差がありました。平均失点以外の指標はどうか比較してみましょう。

指標 先発 救援 違い
RA9 4.21 3.91 0.30
FIP 4.19 3.95 0.23
xFIP 4.14 4.05 0.09
tRA 4.21 3.93 0.28

xFIPの差が小さいのは、計算に被本塁打を除外するからでしょう。 FIPとtRAも0.2〜0.3程度の差で救援投手がより良い成績を見せています。だからといって救援投手が先発投手より実力が優れており、成績が良いものであると見ることはできません。先発投手と救援投手は難易度が違うからです。

先発投手は、多くのイニングを投げなければならため、救援投手のように全力投球をしていないです。選抜から救いに変更時に、一般的に拘束が上昇します。拘束が高くなるほど失点は減少します。そして救援投手はほとんどの打者を1試合に1度だけ、相手が先発投手は、2回で3回相手にされます。打者は、投手をたくさん相手にするほど慣れるためによくチョネルができます。これらの要因だけで選抜から救いに変更時失点抑止力が大幅に高まることが期待されます。

先発投手と救援投手を兼ねた選手の成績を利用して、難易度の差を計算できます。ところが、先発で対戦した打者と救援に対戦した打者がすべてまちまちだがどのように比較するかが問題です。先発で300打者、救援に10打者相手した選手と先発で100打者、救援に200打者相手した選手を同じように扱うことはできませんから。だから先発に対戦した打者と救援に対戦した打者を調和平均する方法を使用していました。調和平均は逆数の平均の逆数を指します。 300と10の調和平均は19.35、100と200の調和平均は133.33です。調和平均したタイピストに基づいて選抜記録と救いの記録を調整します。

2014年松井ゆきの場合を例に挙げてみましょう。松井ユキは先発で445打者、救援に59打者を相手ました。

タイプ 打者 投球回 失点 平均失点
先発 445 101 49 4.37
救援 59 15 3 1.80

相手打者を調和平均と104.2となります。調和平均である104.2に基づいて選抜と救いの記録を調整します。

タイプ 打者 投球回 失点 平均失点
先発 104.2 23.6 11.5 4.37
救援 104.2 26.5 5.3 1.80

このように先発と救援を兼ねたすべての選手の記録を調和平均に基づいて再構成して合算します。

タイプ 打者 投球回 安打 本塁打 四死球 三振 失点
先発 23944 5405.0 5807 662 2453 3848 3255
救援 23944 5531.4 5343 528 2542 4449 2590

 

タイプ 安打/9 本塁打/9 四死球/9 三振/9 RA9 FIP xFIP tRA BABIP
先発 9.67 1.10 4.08 6.41 5.42 4.84 4.64 5.04 0.303
救援 8.69 0.86 4.14 7.24 4.21 4.28 4.30 4.41 0.293
違い -0.98 -0.24 0.05 0.83 -1.20 -0.55 -0.34 -0.64 -0.010

BABIPは(安打- 本塁打)/(打席 – 四死球 – 安打- 本塁打)で計算した値です。

先発登板時と救援登板時の四死球許可はほとんど似ています。ホームランは9投球回あたり1.10個で0.86個相当抑制し三振は9投球回あたり6.41個で7.24個多くなりました。 RA9(平均失点)は1.20減少、FIPは0.55減少、xFIPは0.34減少、tRAは0.64減少しました。 RA9差が大きい理由は、残した走者の失点が先発の責任で計算されるために見えます。だからRA9は選抜と救いの難易度の違いを見るのは不適切だと思われます。そしてxFIPは投手の責任が確実だと思われるホームランを計算に入れていないので、やはり不適切です。次に、残ったのはFIPとtRAです。 FIP差0.55とtRA差0.64を期待勝率に換算すると0.06程度になります。したがって、先発と救援の違いは、勝率基準で0.06程度であると思われます。先発登板時に勝率が0.480であれば、救援登板時の勝率は0.540ということになります。

 

参考

先発投手と救援投手のRA9, FIP、xFIP、tRA:https://1point02.jp/op/index.aspx