WAR(Wins Above Replacement)は、選手の貢献度を一つの統計にまとめたものです。以前は、選手を評価するために、打率、本塁打、打点など、様々な記録で判断しなければならいたがWARは単一の指標でポジションが他の選手たちの間にも比較が可能です。そしてどのような選手が離脱して2軍選手との交換をする場合、チームの勝利がある程度減少のかに対する答えを提示することができます。
代替水準の選手は簡単に得ることが可能で、最低年俸を受ける選手です。 MLBでは、代替選手だけで構成されたチームは3割勝率(162試合で48勝)レベルであると研究されています。 MLBより選手層が浅いNPBでは、代替選手だけで構成されたチームは3割以下(2割台)の勝率を記録するものと思われます。 NPB STATSは、日本のプロ野球で代替選手だけで構成されたチームは、0.260の勝率(143試合で37勝)を記録するものと仮定しています。
比較の基準として平均ではなく、代替選手を使う理由は、平均は、高レベルであるからです。防御率はリーグ平均レベルであり、150イニングを投げた選手なら平均比寄与度は0に近いとなります。しかし、この選手は貴重な選手であり、高い年俸を期待することができます。したがって、平均基準の指標としては、選手の貢献度を適切に評価することが困難である。しかし、基準を代替レベルに下げるベンチの選手もプラスの寄与度があるので選手を評価することが容易になります。
WARは選手の貢献度を正確に表す指標ではなく、ただの推定値です。 WAR 4勝の選手はぴったり4勝の価値があるというより、実際は3〜5勝の間の値であり、ベストナイン級の選手と評価することができます。
打者WAR
打撃、走塁、守備、ポジションの各部門での平均と比較してどのようRAA(平均比得点寄与度)があるかを計算した後、WAA(平均比勝利貢献度)に換算します。そしてREP(平均選手の代替選手比寄与度)と加えるとWARになります。
打者WAR= WAA+ REP
投手WAR
FIP基準でイニングに基づいてRAA(平均比得点寄与)を計算し、WAA(平均比勝利貢献度)に換算します。そして救援投手はgmLI(登板状況重要度)に応じてWAAadj(平均比勝利貢献度ボーナス)を追加します。ここでREP(平均選手の代替選手比寄与度)と加えるとWARになります。
投手WAR= WAA+ WAAadj+ REP
RA9-WARはFIPの代わりにRA9(9投球回当たり平均失点)で計算します。
WARの分布
平均的なレギュラー野手は約2 WAR、ベンチ選手は0〜1WARの価値があります。平均的な先発投手は、約2WARの価値があり、救援投手が1WAR以上を記録すると、優れたものとみなされます。
野手と先発投手のためのWARチャートは以下のとおりです。
WAR | 評価 |
6~ | MVP |
5~6 | スーパースター |
4~5 | ベストナイン |
3~4 | オールスター |
2~3 | 好レギュラー |
1~2 | レギュラー |
0~1 | ベンチ |
~0 | 代替水準 |
以下は2019年に日本プロ野球1軍の試合に出場したことのある702人の統計です。
WAR | 選手 | 割合 |
7~8 | 1 | 0.1% |
6~7 | 3 | 0.4% |
5~6 | 6 | 0.9% |
4~5 | 10 | 1.4% |
3~4 | 20 | 2.8% |
2~3 | 38 | 5.4% |
1~2 | 76 | 10.8% |
0~1 | 291 | 41.5% |
-1~0 | 257 | 36.6% |
Total | 702 |
WARの投手と打者の割合
攻撃と防御の比重が同一であるとすればWARも攻撃と防御に50%ずつ均等に配分されます。現代野球の攻撃で投手の割合はほとんどないと見ても関係します。したがって、攻撃WARは打者がすべて持ってもなると思われます。
ところが、防御は投手だけではなく守備の助けを受けます。したがって、守備にもWARを配分する必要があります。 防御で守備の比重がどれくらいか確かな答えはありません。 MLBの場合、守備には10~20%を割り当てています。
WAR |
防御における守備の比重
|
防御(投球) |
防御(守備)
|
攻撃(打撃+走塁)
|
投手 | 打者 |
Baseball Reference WAR | 18% | 0.410 | 0.090 | 0.500 | 0.410 | 0.590 |
FanGraphs WAR | 14% | 0.430 | 0.070 | 0.500 | 0.430 | 0.570 |
Baseball Prospectus WARP | 12% | 0.440 | 0.060 | 0.500 | 0.440 | 0.560 |
防御で守備の比重が10%の場合、投手45%打者55%配分となり、守備の比重が20%であれば投手40%打者60%配分となります。 Baseball Reference WARは投手に41%、打者に59%を配分しており、FanGraphs WARは投手に43%、打者に57%を配分し、Baseball Prospectus WARPは投手に44%、打者に46%を配分して あります。
攻撃WAR 50%:攻撃50%
防御WAR 50%:投球40〜45%+守備5〜10%
打者WAR:55〜60%(攻撃50%+守備5〜10%)
投手WAR:40〜45%(投球)
代替水準のチーム勝率が0.260であるため、143試合を行えば37.2勝します。勝率0.500のチームは71.5勝なので、WARは71.5 – 37.2 = 34.3勝されます。日本プロ野球は12チームなので、リーグ全体のWARは34.3 * 12 =約412勝されます。投手WARは43.75%を占めるので、約180勝され、打者WARは56.25%を占めるので、約232勝されます。
NPB STATS WARの構造(代替レベルの勝率)
代替レベルチームのレベルは勝率0.260で、WARは(0.500-0.260)*143*12 = 411.84勝
代替レベルチームの攻撃/防御レベルはどちらも勝率0.380で、WARは(0.500-0.380)*143*12 = 205.92勝
代替レベルチームの守備レベルは勝率0.485勝、WARは(0.500-0.485)*143*12=25.74勝
代替レベルチームの防御から守備を除外すると投手WARになり、代替レベルチームの攻撃に守備を追加すると打者WARになります。
代替レベル防御(勝率0.380, WAR 205.92) – 代替レベル防御(勝率0.485, WAR 25.74)=代替レベル投手(勝率0.395, WAR 180.18)
代替レベル攻撃(勝率0.380, WAR 205.92)+代替レベル防御(勝率0.485, WAR 25.74)=代替レベル打者(勝率0.365, WAR 231.66)
NPB STATS WARの構造(ポジション別配分)
パ・リーグは打者9人のうち守備を見る野獣が8人、指名打者が1人あり、比重も同じです。パ・リーグの平均的なポジション野手は143試合あたり2.2勝、指名打者は143競技当たり1.7勝です。
パ・リーグ打者 WAR: ポジション野手 2.2*8*6 + 指名打者 1.7*1*6 = 105.6+10.2 = 115.8勝
セ・リーグも守備を見る野手は8人で同じですが投手打石が0.5人分を占めるため、対打の比重は0.5人分です。セ・リーグの平均的なポジション野手は143試合あたり2.3勝、対打は143試合あたり1.8勝です。
セ・リーグ打者 WAR: ポジション野手 2.3*8*6 + 対打 1.8*0.5*6 = 110.4+5.4 = 115.8勝
1974年以前は、選抜投手と救援投手を区別しませんでした。平均投手の勝率は0.500、代替レベル投手の勝率は0.395
1974年以前の投手WAR: (0.500-0.395)*143*12=180.18勝
1974年からは選抜投手と救援投手を区分します。平均選抜投手の勝率が約0.490で、代替水準選抜投手の勝率は約0.380、平均救援投手の勝率が約0.520、代替水準救援投手の勝率は約0.440です。イニングは選抜投手が9イニング中6イニングを担当し、救援投手が3イニングを担当。そして救援投手にはLIボーナスを与えます。
選手投手WAR: (0.490-0.380)*6/9*143*12=125.84勝
救援投手WAR: (0.520-0.440)*3/9*143*12=45.76勝
LIボーナス: 0.005*143*12=8.58勝
WARは打者に約56%(56.25%)、投手に約44%(43.75%)配分されます。投手の中では、選抜投手に約70%、救援投手に約30%配分されます。
WARの注意事項
WARは、さまざまな方法で計算することができます。そのため、NPB STATSのWARは他WARとは異なる場合があります。 WARは、正確な値ではなく、推定値であるため、選手の価値を調べるための参考程度に書くことです。 WAR 2.1選手と1.9選手は差が小さすぎるため2.1選手が確かに寄与度が高いとすることができません。計算に基づいて1.9選手のWARが高くてももうありません。このような小さな違いは誤差の範囲内にありますので、両方の戦闘機の価値は、ほぼ同じことができます。一方、WAR 5.0選手と3.0選手がいる場合は5.0選手の価値が高いと評価することができます。
打者WARは打撃に加えて走塁、守備まですべてを評価する総合統計です。ところが、走塁と守備の貢献度は、打撃とは異なり、正確に測定しにくいのでWARもそのような問題がそのまま反映されます。現在最も優れた守備指標であるUZR、DRSもまだ守備力を正確に測定できないという批判を受けています。 NPB STATSは守備力を含むWARのほか、守備力をポジション平均と仮定したoWAR(Offensive WAR)も一緒に表示しています。
投手WARはFIPがインプレイ打球を無視しているという批判があります。投手も打球を制御することができると明らかになっているが、かなり限定的です。そしてサンプルが十分でない場合打球は投手の統制力に比べて幸運、守備などの他の要素にも大きく左右されます。したがって、FIPはまだ投手の評価に有効であると思われます。代わりにFIPが欠けている部分を補完するためにRA9(平均失点)に基づいて計算したRA9-WARも一緒に見ることができようにしています。